階段を降りる時に膝の内側が痛い、立ち仕事中に内側が痛いなど多くの方が膝の痛みで悩んでいらっしゃいます。
今回は、エコーで観察できる膝関節の内側についてご紹介しようと思います。
(文章中に、日本整形外科学会が配布している整形外科シリーズ『半月板損傷』の図を利用させていただきました。ぜひこちらもご活用ください。)
目次
今回の話の10秒まとめ。
① 近年、整形外科領域においてもエコーを用いた診断や治療が行われている
② 観察できる組織の代表として内側半月板が挙げられる
③ 内側半月板は役割や機能が豊富なため、膝の内側の痛みに関与する事が報告されている
④ 変形性膝関節症患者の約6割に内側半月板の突出(飛び出ている状態)が認められるという報告もある
⑤ エコーであれば膝を動かしながらの画像を確認出来ることに加え、リアルタイムでの観察が可能である
そもそもエコーとは?
エコーは超音波検査とも呼ばれます。近年、整形外科領域においてもエコーを用いた診断や治療が行われています。
当院の代表例としては、ハイドロリリースという治療が挙げられます。
膝の内側で観察できる部位とは?
内側半月板
半月板は膝に存在し、内側と外側に分けられます。
内側半月板は、肉厚で可動性が低いのが特徴です。
外側半月板は、薄く可動性が高いのが特徴です。
これは膝の構造上、内側は体重をしっかりと支えることに特化しているためです。
内側半月板損傷は、中高年の受傷機転が明らかでない退行変性(加齢よるもの)が多いとされています。
内側半月板のエコーの見方は?
ここは専門的な知識になってしまうかもしれませんが、良ければご覧ください。
観察時には膝を90°に曲げて観察していきます。
図1.右内側半月板のエコー観察時の様子
半月板の組織は、線維軟骨と言われ異なる線維で構成されています。
その繊維に超音波が反射し、高エコー像といわれる白い像が映し出されるのが特徴的です。
下記の図のように、骨と骨の間を三角形が埋めるような像が内側半月板になります。
図2 右膝関節の内側半月板エコー像
内側半月板の役割は?
半月板には、以下の役割があります。
1)関節の適合性を高めている
接触する面積を2~3倍にして、上下の不安定な骨同士を繋いでいます
2)膝の運動を安全かつ円滑にしている
周囲の筋肉や靭帯に付着し、移動することで適合性を高めています
3)荷重を分散している
歩行中、体重の2~3倍かかるストレスを、30~50%軽減します
4)感覚を司っている
痛みの感覚・そして見なくても動かすために必要な深部感覚というものがあります
5)関節液を出している
関節液とは潤滑油のようなもので摩擦を軽減させる役割があります
上記の様に役割や機能が豊富なため、膝の変形や膝の内側の痛みに関与する事が報告されています。
また半月板損傷に関しては以下にまとめてあります。ぜひご覧ください。
膝の変形と内側半月板の関係
変形性膝関節症患者の約6割に内側半月板の突出(飛び出ている状態)が認められるという報告もあります。
その突出量は、症状と関係することも報告されています。この突出は変形が重症化する前から生じるとされており、エコーによる膝内側の観察は早期変形性膝関節症の検出にも有用と考えます。
変形性膝関節症とリハビリテーションの内容については、下記で詳しくまとめておりますのでぜひお読みください。
なぜエコーでの観察が注目されているのか?
超音波が整形外科で着目されている理由として、動かしながらの観察が可能であることが挙げられています。
従来の整形外科での画像診断は、単純X線・CT・MRIという数多くの診断機器が活用されてきました。
しかし、上記の画像診断には共通点があります。それは、「静止時に撮影した画像」なのです。
整形外科では、安静時痛(じっとしていてもズキズキする)以外にも、
・動作時痛(曲げると痛い・伸ばすと痛い)
・痛みによる可動域制限(そもそも曲げられない・伸ばせない)
と言った、動作に伴う痛みや障害が存在します。
静止画で視る診断機器は、静止画で得られた情報から運動学的な動態を予測して病態を考えなければなりません。
しかし、エコーであれば動かしながらの画像を確認出来ることに加え、リアルタイムでの観察が可能になります。
まとめ
エコーは簡単に使用でき、身体を傷つけることがないというメリットがあります。
しかし、デメリットとしては画像精度、もう一度同じように撮影できるのかという再現性に関する問題点があると言われています。
また当院では「膝関節」の専門外来を用意しております。
膝の症状や膝関節疾患などでお悩みの方は、一度当院までご相談ください。
当院のご紹介
整形外科の診療に必要な『すべて』が揃った診療所
当院は、各種専門領域を持った医師の診療に加え、大学病院と同様の医療機器を有し、かつ、理学療法士・作業療法士によりリハビリテーションも積極的におこなっている診療所です。また、併設の慶友整形外科脊椎関節病院では手術加療も行なっております。
そのため当院では、整形外科疾患におけるほぼ全ての治療を提供することができます。
当院の『7つの特徴』や『ミッション』についてご案内いたします。
各部門の専門家が集まった特殊外来を設置
当院は、一般的な関節の痛みや筋肉の痛みを診る整形外科の他に、「脊椎(首・腰)」、「肩関節」、「股関節」、「膝関節」、「手」、「足」とそれぞれの専門家が集まった専門外来を用意しております。
他院で診断がつかない症状に関して、各領域の専門家が診察をいたします。
手や足が痺れる、膝や股関節は痛い、背中が曲がってきたなどの症状でお困りの方へ。
都内最大級のリハビリ室を完備
患者様の健康を取り戻すため、当院ではリハビリテーションに力を入れております。
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腰が痛い、姿勢が悪い、歩くとふらつくなどの症状でお困りの方へ。
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当院では交通事故診療に強い整形外科専門医が治療を行います。ぜひ一度ご相談ください。
当院は、整形外科専門医が交通事故治療を行う医療機関です。