足立慶友医療コラム

関節弛緩性ってなに?診断・関連する整形疾患とリハビリテーション

関節弛緩性という言葉をご存知でしょうか?。なかなか聞き慣れない単語であると思います。

身体が柔らかそうでいいのではないのか?と思う方が多いかもしれませんが、柔軟性も過剰になるとを障害を起こすことがあります。

関節弛緩性はヨガ・ピラティスインストラクターの方、バレーやアイススケートなどの柔軟性が必要なスポーツに関わる方にぜひ知って頂きたい内容となっております。

(文章中に、日本整形外科スポーツ医学会が配布しているスポーツ損傷シリーズ「肩鎖関節損傷」の図を利用させて頂きました。ぜひこちらもご活用下さい。)

今回の10秒まとめ

① 関節弛緩性とは、先天性あるいは後天性に異常な弛緩と可動性を示す関節を表す

② 関節弛緩性は若い患者によく見られ、筋骨格系損傷の障害発生率の増加と関連している

③ 審美系のスポーツは、身体に通常以上の可動域が要求されるため関節弛緩性に影響する可能性がある

④ 診断は、関節弛緩性テストで各関節をチェックすることで行う

⑤ リハビリテーションでは、筋力と固有受容感覚という自分の身体の位置や動き、力の入れ具合を改善する必要がある

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関節弛緩性とは

関節弛緩性とは、先天性あるいは後天性に異常な弛緩と可動性を示す関節のことをいいます。

先天性とは、持って生まれた体質のことです。特に女性は不安定性が高い傾向にあると言われています。

後天性とは、捻挫・脱臼・靱帯損傷などにより関節への外傷よって関節の不安定性を生じたものとされます。

関節弛緩性は若い患者によく見られ、筋骨格系損傷の障害発生率の増加と関連しています。

また加齢に伴い、関節弛緩性は減少していくという報告が多く見られます。

関節弛緩性とスポーツ特性の関係

バレエ・新体操・アイススケートなどは、柔軟性が伴う審美系スポーツとされています。

上記のスポーツは、身体に通常以上の可動域が要求されます。

その為、可動性を向上させるトレーニングやスキルトレーニング自体が関節弛緩性に影響する可能性があります。

筆者は、後天性の要因としては上記のスポーツ特性の影響も大きいと考えております。

関節弛緩性の診断

関節弛緩性テスト(東大式)

上記のテストに乗っ取り、自分に関節弛緩がないかチェックしてみましょう。

またトレーナーやインストラクターは、競技者に上記の状態がないか把握することが重要です。

1.手関節 

親指が前腕掌(てのひら)側につくか

両側できたら1点、片方だけなら0.5点としましょう。

2.肘関節

肘過伸展15°以上である(肘を逆方向に曲げることができる)

世間一般的に言うとサル手という状態ですね。これも両側できたら1点、片方だけなら0.5点としましょう。

3.肩関節 

背中の後ろで指が組める。(挙げた方の肩を測定側とする) 

両側できたら1点、片方だけなら0.5点としましょう。

上半身はこれで終わりになります。

4.膝関節

膝過伸展10°以上である(膝を逆方向に曲げることができる) 

両側できたら1点、片方だけなら0.5点としましょう。

5.足関節

膝を曲げた状態で足が45°以上背屈できる 

両側できたら1点、片方だけなら0.5点としましょう。

下半身はこれで終わりになります

6.脊柱

前屈で手が床につく 。

できない人は0点、出来た人は1点とします。

7.股関節

立った状態で股関節が180°以上ある。

これもできない人は0点、出来た人は1点とします。

如何でしたでしょうか?

3点以上であれば「関節弛緩性がある」と判定します。

6〜7点の人は、「全身的な関節弛緩性が強い」と考えられます。

研究では、上半身の方が弛緩性が高い傾向があるという報告もあるため、各関節をチェックするようにしましょう。

関節弛緩性と関係性の高い整形外科疾患

下記に関節弛緩性と関連の高かった整形外科を疾患を列記します。

下記の疾患は審美系以外のスポーツ競技にも影響を及ぼすため、関節弛緩性の有無についてご自身でもチェックしましょう。

関節弛緩性に対するリハビリテーション

関節は、骨や靭帯などによる保持力に筋力の強さが加わり、その安定性が保たれます。

靭帯は人間の運動器官の中で一定の動きを制限し、関節全体を安定させる働きをもっています

これを補助し、関節の安定を保つのが筋肉であり筋力なのです。

リハビリテーションでは、筋力と固有受容感覚という自分の身体の位置や動き、力の入れ具合を改善することに重点を置き長期の治療が必要となる場合もあります。

またテーピングによってサポートすることも有効とされています。テーピングに関しては、以下の記事をご覧ください。

テーピングの効果とその目的について

まとめ

著者も関節弛緩性の高い患者さんを担当したことがありますが、苦渋例が多かった印象にあります。

身体が硬いため整形疾患になったのであれば、柔軟性の向上に努める。身体が柔らかすぎるのであれば、筋力増強と運動の仕方を再獲得しなければならないのですが、一度獲得してしまった動作を修正するというのは時間がかかる作業になります。

スポーツでも同じですが、一度身についた動作を修正するのはとても大変なことです。

上記のような症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

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当院のご紹介

整形外科の診療に必要な『すべて』が揃った診療所

当院は、各種専門領域を持った医師の診療に加え、大学病院と同様の医療機器を有し、かつ、理学療法士・作業療法士によりリハビリテーションも積極的におこなっている診療所です。また、併設の慶友整形外科脊椎関節病院では手術加療も行なっております。

そのため当院では、整形外科疾患におけるほぼ全ての治療を提供することができます。

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当院の『7つの特徴』や『ミッション』についてご案内いたします。

各部門の専門家が集まった特殊外来を設置

当院は、一般的な関節の痛みや筋肉の痛みを診る整形外科の他に、「脊椎(首・腰)」、「肩関節」、「股関節」、「膝関節」、「手」、「足」とそれぞれの専門家が集まった専門外来を用意しております。

他院で診断がつかない症状に関して、各領域の専門家が診察をいたします。

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当院では交通事故診療に強い整形外科専門医が治療を行います。ぜひ一度ご相談ください。

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当院は、整形外科専門医が交通事故治療を行う医療機関です。

Author

竹内 雄登

理学療法士・ピラティスインストラクター・住環境福祉コーディネーター

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